
観てない人は観てから読んでください。
『アイ・アム・レジェンド』観賞しました…。ちょっと残念な作品になっていました。これは私の知っている『地球最後の男』ではないですね。普通の娯楽映画(確かによく出来ています)のように感じました。原作のファンにとってはこれは全く問題外の映画になっていると思います。作品の魂は完全に抜け落ちていますし、独特の味も失われてしまっています(原作をちゃんと読んだわけではありませんが、それでも映画版の『地球最後の男』からはかけ離れた話になっているのは分かりますし、『オメガマン』からも随分離れてしまっているように感じました)。
原作や、前回、前々回の映画化作品にあった善悪の逆転、シニカルさ、人類への警鐘といったテーマはここにはこれっぽっちもみらません。狩る者と狩られる者の攻防も単調ですし、感染者を単なる怪物視し、全く哀れみをかけなかったのもヒドイ話です。原作のテーマを180度ひっくり返してしまったラストもいただけません。
原作の尊重云々以前に、辛口のメッセージ性などは終末SF映画などには不可欠な香辛料のようなものだと思いますが(娯楽要素のとくに強い『ターミネーター』なども例外ではありません)、それがない故に話は単純なヒーロー対悪漢の戦いになってしまい、結局は魅力的な設定をいかしきれていない、俳優ウィル・スミス中心の(好演だと思いますがやはり軽いですしオレオレ節が鼻につきます)、深みのない、中身のない、よくあるハリウッド映画の域を出ない作品になってしまっているように感じました。
この映画にもところどころいいシーンやイメージはありました。荒廃したニュー・ヨークのビジュアルはなかなか良かったですし、光と闇の境界線をいかしたサスペンスシーンなどは結構ハラハラしました。娯楽としては一定の水準は保っていると思います。観てそれなりに楽しめる映画であることは保障します。ただ私にはあまり「感じる」ところはありませんでした(娯楽映画としても、ラストは、あれっ、これで終わり?という盛り上がりにかけるものでした。演出面でも、作品の要であるはずの終末観や登場人物の悲壮感などがうまく表現されていないようにも感じました)。
久々に辛口でした(あくまで個人的感想ですので…)。
感染者との戦い、人類の危機、シリアスなテーマ…、といったところでは「28週後」も似たような話ですが後者は前者と比べて段違いのおもしろさとクオリティを誇っているように思います。